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    無幻真天楼第二部・第五回・参【靴下の魔法】

    • 2013.01.20 Sunday
    • 15:52
     「おにーさん誰?」
    上から降ってきた声に悠助が顔を上げた
    「もふもふのワンコを抱く小さい子とか…ッ…最強の可愛さ…ッ…!!」
    「もしかしておにーさんがアサキンの飼い主さん?」
    悠助が聞く
    「う…ん…っ」
    ほんのり顔を赤くした阿耨達がぶんぶと何度も頷いた
    「おにーさん…もしかしてサンタさん?」
    「は?」
    予想もしていなかった悠助の言葉に周り一同が声を上げた
    「サンタ…さん?」
    聞きなれない言葉に阿耨達もきょとんとする
    「だっておにーさん服赤いし…」
    「赤い服きてりゃ誰でもサンタなのかよ…;」
    阿耨達の全身を見て聞く悠助を見て京助がため息をついた
    「サンタさん大きいんだねー」
    「決定ですか…答えも聞かずに決定なんですか悠助君;」
    阿耨達からの答えを待たずに悠助が話し始める
    「僕栄野悠助っていってねーあっちにいるのが京助でー緊ちゃんでーこの人がマホ兄ちゃんでーそして慧喜ー慧喜はねー僕のお嫁さんー」
    「悠助は可愛いなぁ…」
    満面の笑みで自己紹介から一同の紹介をする悠助の頭を阿耨達が撫でようとしたその時
    「悠助に触るな変態」
    ドスの利いた声と共に慧喜が阿耨達の手をつかんだ
    「慧喜ー…痛い…」
    「うるさいッ!さっさと帰れ!!」
    バッと阿耨達の手を振り払った慧喜が怒鳴る
    「悠助は俺のだッ!!」
    そして悠助を抱きしめながら阿耨達を睨んだ
    「慧喜?サンタさんにそんなこといったらプレゼント…」
    「こいつはサンタさんなんかじゃないよ悠助」
    「え?」
    「そうそうコイツは阿耨達っていうの」
    マホが阿耨達の名前を言うと雄介が阿耨達を見上げた
    「あ…あのく…」
    「阿耨達だよ悠助」
    言えなくて口ごもる悠助に慧喜がゆっくりと繰り返して教える
    「あのくたつさん?」
    「うん」
    阿耨達がにっこりと笑った
    「サンタさんじゃないの?」
    「うん」
    悠助が聞くと阿耨達が頷きながら答える
    「じゃぁ阿耨達さんは誰?」
    「いや…阿耨達さんは阿耨達さんだと思いますよ悠助君;」
    本気で悩んでいる悠助に京助が遠くから小さく突っ込んだ
    「名前言いにくいなら【あっちゃん】でいいんだよ」
    阿耨達がしゃがんで悠助と目線を合わせるとニコニコしながら言う
    「あっちゃん…あっくんにいちゃんと似てるねー!お揃いみたい」
    「あー…」
    悠助がそういうとマホが何故かため息をついた
    「あっくん…あっくんねー…そうなんだよねー…似てるよねー…」
    顔は笑いながらもさっきとは明らかに纏っているオーラが違う阿耨達が俯く
    「そうなんだよ…あいつがいたから…あいつがあっくんとかかわいい呼ばれ方してるから…」
    ブツブツと独り言をいう阿耨達を悠助が不思議そうな顔で見る
    「あのくたつさん?どうしたの?」
    「あっちゃんだって…可愛く呼ばれたかったのに…ッ」
    「ハヒーィ…」
    ガクッと膝をついた阿耨達の頭をアサキンが撫でた
    「…話が全く見えん…;」
    「私もだっちゃ…;」
    京助と緊那羅が呟いた

    無幻真天楼第二部・第五回・参【靴下の魔法─

    • 2013.01.17 Thursday
    • 21:02
     「うわぁあああ…もっこもこのふわふわだぁ…」
    「は…はなすんだやな…;」
    「く…くるしいんだやな…;」
    幸せそうな声の後に続くは弱り切ったコマとイヌの声
    「ハヒハヒ!!」
    そして更に続いたのはアサキンの鳴き声
    そのアサキンが地面をけると飛び上がった
    「アサキンー!!見てー!!めっちゃふわもこだ!!」
    「ハヒハヒ」
    めちゃくちゃ上機嫌な声に頷きながらアサキンが答える
    「連れて帰りたい…」
    「ぐぇええ…;」
    雲間から見えた月明かりに照らし出されたコマとイヌ
    その二匹を抱きしめているのは大きな男のものと思える手
    だんだんと広がる月の明かりがその手の主を浮かび上がらせると二匹の耳に届いた雪の上を駆ける足音
    「コマ!イヌ!!」
    「きょぉぉすけぇえ…」
    京助の姿を見るなりコマが泣きそうな声を上げた
    「京助?」
    聞いたことのない声に京助が身構える
    「ハヒハヒハヒ」
    「…そうか…阿修羅もいるのか」
    「ハヒハヒ」
    月明かりの逆光で顔は見えない
    それでも相手についてわかったことは阿修羅を知っているということと
    「…でけぇ…;」
    おそらくアサキンが乗っているのは頭なのだろうから推測して2メートル近くある大きさに京助が思わずつぶやいた
    「やっぱりお前か、阿耨達」
    京助から少し遅れてきたマホが言う
    「摩護羅迦…」
    「そいつら放してやれ」
    「やだ」
    マホの言葉に即座に帰ってきた返事
    「この子達ふわもこなんだもん」
    「ぐぇええええ;」
    「相当嫌がってるぞ」
    力いっぱい抱きしめたのか二匹のうめき声が聞こえた
    「らぶりーわんわん…」
    「も…ダメなんだやな…;」
    相当強い力で抱きしめられたのか気を失ったコマとイヌ
    「あーあ…やっちゃった」
    呆れたようにため息をつきながらマホが足を進めて阿耨達に近づく
    「ホラよこせ」
    「…ぶー…」
    マホが手を出すとゆっくりと二匹の体がその手に乗せられた
    「…さっきから会話に違和感が隠せないのは俺の気のせいだろうか…なんだろうこの違和感…超違和感…なんかこう…なんかこうとにかくうまく言えないんだが 超違和感ッ;」
    マホと阿耨達の会話を聞いていた京助が妙な違和感と戦っていると
    「京助ッ」
    ここにいろと言っておいてきたはずの悠助と慧喜そして緊那羅がやってきた
    「どうしたの?義兄様」
    悶絶していた京助に慧喜が聞く
    「いや…なんかマホと話しているあのデカイのの話し方というか行動というか…とにかくなんかスッゲェ違和感があってだな…;」
    「違和感…だっちゃ?」
    少し震えてる声で緊那羅も聞く
    「まぁ…聞いてると分かると思うんだけど…;」
    「わぷ;」
    そう言いながら京助が着ていた上着を脱いで緊那羅にかぶせた
    「だから戻れっつたろがバカ」
    かぶせた上着の上から京助が緊那羅の頭を叩く
    「アサキンー!!コマー!イヌー!!」
    悠助が叫ぶとマホが振り返った
    「悠助」
    「コマ!!イヌ!!」
    マホの腕の中でくたっとしている二匹を見た悠助が駆け出す
    「よかったぁ…」
    マホから二匹を受け取った悠助の顔話ほころんだ
    「か…っ…かわ い い」
    悠助の頭上から阿耨達の声がした

    無幻真天楼第二部・第五回・参【靴下の魔法А

    • 2013.01.03 Thursday
    • 21:12
     「おろせっていってんだろッ!!;」
    「照れるな照れるな」
    「摩護羅迦ッ!!;京助嫌がってるじゃないっちゃかッ!!おろすっちゃッ!!」
    京助を小脇に抱えたまま歩くマホの後ろを怒鳴りながら歩く緊那羅
    「にぎやかだね…」
    「…うだね」
    その後一行が制多迦と矜羯羅の部屋の前を通過した
    「本当…にぎやかでうるさいくらいだね」
    遠ざかる足音と声を少し寂しそうな目で襖越しに見送った矜羯羅
    「クリスマスっていったっけ…靴下とかいうのにほしいものかいていれたらそれがもらえるっていうの」
    矜羯羅が聞くと制多迦がうなずいた
    「…んがらは何がほしいって書いたの?」
    「秘密」
    ヘラッと笑って制多迦が聞くと矜羯羅がふぃっと顔をそらして答えた
    「…ててみようか?きっと僕も同じものほしいって書いたと思うんだー」
    「いらないよ」
    矜羯羅が立ち上がる
    「同じ事書いたならわざわざ聞かなくてもいいだろ」
    襖を開けて廊下に出か矜羯羅がそう言い残して襖を閉めた
    「…れもそうかぁ…」
    ヘヘッと笑った制多迦にホクロが寄り添って鼻をふんふんさせる
    そのホクロを抱き上げる制多迦の顔からはあの気の抜けた笑顔が消えていて
    まるでその顔を隠すかのように制多迦がホクロを強く抱きしめた


    「アサキンー!!」
    じゃくじゃくを半分固まった雪を踏んで悠助が外に出る
    それに続いて慧喜が飛び出す
    「ハヒハヒ」
    微かに聞こえるアサキンの鳴き声を耳に悠助が駆け出した
    「ギャワワンッ!!;」
    「コマ…?」
    アサキンの鳴き声の方から聞こえたのはコマの声
    「悠助ッ」
    追いついた慧喜が悠助を背にやった
    「慧喜…今こっちからコマの声…」
    「ギャンッ!!;」
    「キャンキャンッ!!」
    まるで何かにおびえているかのようにも聞こえるその声に湯助がぐっと慧喜の服をつかんだ
    「悠!!」
    少し遅れて京助が駆け付けた
    「京助…コマとイヌの声…アサキンの行った方から聞こえたの」
    そう言って悠助が指さす方向は境内の裏手
    「ここにいろ」
    じゃくっと雪を踏んで京助が足を進める
    「京助!」
    はぁっと白い息を吐いた緊那羅が震える声で京助を呼んだ
    「おま…寒がりのくせに何も着ねぇでくるとかアホか;戻れ;」
    上着も着ないでついてきた緊那羅に京助が言う
    「だっ…だいじょうぶだっ…ちゃっ;」
    「だいじょばねぇだろ;」
    震える緊那羅が一歩足を進めるとその肩をマホが掴んだ
    「京助には俺がついてく。だから大丈夫だぞ緊那羅」
    「それが心配なんだっちゃッ!!;」
    怒鳴った緊那羅の息が白く吐き出される
    「キャイーン!!;」
    「イヌッ!?」
    その緊那羅の怒鳴り声にも負けないくらいの悲痛な叫びが夜空に響いた

    無幻真天楼第二部・第五回・参【靴下の魔法Α

    • 2012.12.12 Wednesday
    • 22:01
     「はぁ…」
    自室のベッドに転がった阿部が天井を見てため息をついた

    いつの間にか京助の隣にいるようになった緊那羅

    でもそれは随分と昔からそうだったかのように当たり前に思えて

    自分は【そこ】には決していけないのではないかと思う様になった

    【そこ】とは言わずと知れた京助の隣

    京助にとって緊那羅という存在は阿部が隠れてしまうほどに大きくて大切だということは見ていてよくわかっている

    それでも諦めきれないのはそれだけ好きの気持ちが大きいからであって

    「…苦しい…な」

    傍にあったクッションを抱きしめ阿部が呟いた

    もっと話したい

    もっと近づきたい

    緊那羅になれたら【そういうふう】になれるのだろう

    「ラムちゃん…いいなぁ…」
    クッションに顔をうずめた阿部が目を閉じた
    「ねぇねぇ緊那羅になりたいの?ねぇ」
    「なりたいってうか…うらやましいなって…っ!?;」
    自分しかいないはずの部屋の中に自分じゃない、聞いたことのない声がした
    無意識にその声に答えた阿部が異変に気付いて顔を上げる
    「あはははははッそうなのかー…へぇーふーん…緊那羅になりたいって本気で思ってる?ねぇねぇ」
    ふわふわと浮かぶ長い帯
    どこで息継ぎをしているのかというくらいのマシンガントーク
    「だったらさ、緊那羅になればいいんじゃない?なりたいんでしょ?ねぇねぇ?」
    「だっ…誰よッ!!?」
    「違うよ夜叉…その子はねぇ…緊那羅が邪魔なのさ」
    もう一つ聞いたことのない声がして阿部がその声の方を見た
    「そうなの?邪魔なの?わー!!そうなのかー」
    夜叉と呼ばれたやかましい少年の隣に立っていたのは…
    「初めましてお嬢さん…私は指徳」
    「し…とく…?」
    阿部が震える声で繰り返した
    「そう…そして私たちも緊那羅が邪魔なんだよ。奇遇だねぇ…」
    クスクスと笑った指徳
    「あ…アタシは別にラムちゃんが邪魔なんて…ッ」
    「おやおや…そうなのかい?いや、違うねぇ…緊那羅さえいなくなれば京助はお前の方を向くかもしれないんじゃないかい?」
    クイッと指徳が阿部の顎を指で持ち上げた
    「ちっ…違うッ!!アタシはッ…!!!」
    バッとクッションで指徳を押しのけた阿部が戸口へ走る
    「正確には【緊那羅たち】なんだけどねー緊那羅だけじゃなくー」
    ケラケラ笑う夜叉
    「アタシは…」

    羨ましいと何度思っただろう

    自分がやりたいと、したいと思ったことを緊那羅はどれだけやったんだろう

    京助の隣

    行きたくても行けない場所

    「アタシ…は…」
    「すぐにとは言わないさ?でもね…」
    指徳の赤い唇が弧を描く
    「よぉく…考えるんだねぇ…自分の幸せに何が必要で何が邪魔なのかを…ね」
    阿部が俯いた一瞬の間に消えた指徳と夜叉の姿
    床に投げられたクッションを阿部が拾い上げる
    「京助…」
    頭に浮かんだ京助の姿の隣には緊那羅の姿
    笑いあって楽しそうで
    阿部が唇を噛みしめた

    無幻真天楼第二部・第五回・参【靴下の魔法ァ

    • 2012.12.10 Monday
    • 21:53

    「ギャワワンッ!!!」
    「ギャンギャンッ!!!」
    悠助がまさに窓を開けたと同時に聞こえたのはコマとイヌの尋常じゃない鳴き声
    「なんだ?;」
    その声を聞いた京助が悠助の開けた窓から身を乗り出して外を見た
    「ハヒハヒ」
    「うわーかわいー」
    窓から家の中に入ってきた【アサキン】を悠助が抱き上げると頬ずりをする
    「京助?」
    「こっからじゃちょい見えねぇから外いってくる」
    窓から離れた京助に緊那羅が声をかけた
    「京助」
    「あ?」
    「俺も行く」
    「重いわまごっちょ;」
    白ヘビの姿から変わったマホが阿修羅の頭の上から言う
    「なんで」
    「照れんなってー」
    「て れ て ね ぇ 」
    ハッハと笑いながら阿修羅の頭の上から降りたマホ
    「阿修羅は来ない方がいいな」
    「そうやんなぁ…;ややこしくなるんな」
    阿修羅とマホの会話をきょとんとした様子で聞く京助達をよそ目にアサキンをキャッキャと抱き上げる悠助を膨れた頬で見る慧喜
    「アサキンはどこからきたの?」
    「ハヒハヒ」
    「空だよ」
    烏倶婆迦が答える
    「アサキンは阿耨達(あのくたつ)のなんだ」
    「あの…くたつ?」
    烏倶婆迦が言った【阿耨達】をいう名前に京助が緊那羅を見て緊那羅も京助を見て二人そろって阿修羅とマホを見た
    「あー…阿耨達ってのは…」
    「阿修羅をものすごく羨ましがっててそれが敵意に変わって阿修羅を見ただけで発狂するというか…まぁ好かれてるんだろうな。あ、俺も阿修羅が好きだぞ」
    「はいはいどうもさん;」
    阿修羅の首に腕を絡めて笑うマホに阿修羅が苦笑いを返した
    「烏倶婆迦といい上だかといいお前…結構恨まれてんのな」
    「おいちゃんは阿修羅恨んでないよ」
    京助が烏倶婆迦との初めての出会いを思い出して言う
    「だよなーばかー」
    「烏倶婆迦だっ!!!」
    烏倶婆迦がキーキー地団太を踏む
    「おいちゃんはただ天才になりたかっただけ。でも馬鹿になったからいいんだ。馬鹿と天才は紙一重なんでしょ?」
    烏倶婆迦が京助を見上げた
    「あー…まぁ…うん;」
    京助が目をそらす
    「ハヒハヒ!!」
    「あっアサキン!!?」
    触角がピクンと動いたかと思うとアサキンが悠助の腕からするっと抜けて窓から外に出て行った
    「アサキンー!!」
    悠助が窓から身を乗り出してアサキンを呼ぶ
    「きっと阿耨達のところに行ったんだ」
    烏倶婆迦が悠助の隣から顔を出して言う
    「僕外いくっ」
    「俺も行くっ」
    悠助がパタパタと駆け出すと慧喜もそれに続いた
    「んじゃ俺らも行くか京助」
    「だっ;ちょ…下ろせッ!!;」
    マホが京助を抱き上げた
    「摩護羅迦ッ!!;」
    思わず叫んだ緊那羅がハッとして口をおさえる
    「なんだ?緊那羅も来るか?片方あいてるけど」
    「下ろせっっーん!!;」
    暴れる京助をしっかりと小脇に抱いたマホが緊那羅に笑いかけた
    「京助を離せっちゃッ!!;」
    緊那羅が怒鳴る
    「…止めなくていいの?阿修羅」
    「んー…;」
    ギャーギャー騒いで先に進まない三人を見て烏倶婆迦が阿修羅に言った

    無幻真天楼第二部・第五回・参【靴下の魔法ぁ

    • 2012.12.05 Wednesday
    • 21:32
     「サンタさんって…寒い国にいるんだっちゃ?だったらここだって充分寒いとおもうけど…」
    「ここよりもっと寒ィとこあんだよ。アラスカとか」
    「アラスカ?」
    緊那羅の呟きに京助が白ヘビ摩護羅迦をみょんみょんと伸ばしながら答える
    「コラコラ京助;まごっちょで遊んだらダメやんきに;」
    「なんだ京助、構ってほしいのか?可愛いやつだな」
    「…返す」
    ニヨッと笑った白ヘビ摩護羅迦を見て京助が阿修羅に白ヘビ摩護羅迦を差し出した
    「照れんなって好きだぞ京助」
    「呆れてんだよ!!黙れ変温動物!;」
    しゅるしゅると阿修羅の頭の上に上った白ヘビ摩護羅迦に向かって京助が怒鳴る
    「あっくん兄ちゃんとヘビさんも靴下ぶら下げる?僕の貸そうか?」
    悠助が阿修羅を見上げて聞いた
    「いや、オライはいいわ。あんがとさん悠助」
    阿修羅が悠助の頭を撫でて笑う
    「結局サンタってどこにいるの?」
    烏倶婆迦が突っ込む
    「だからここよりもっと寒いとこだっつーの」
    京助が面倒くさそうに答える
    「サンタっつーのはクリスマスイブに…」
    「クリスマスイブ?」
    「クリスマスの前の日だよー」
    初めて聞いた【クリスマスイブ】という言葉にきょとんとした慧喜に悠助が教える
    「そのクリスマスイブにトナカイが引っ張るソリに乗ってプレゼントくばりにくるん」
    「トナカイ?」
    「鹿のなんかでかいやつ…外国の鹿みたいなもん」
    「でかい…」
    「まぁ鹿の仲間っちゃー鹿の仲間やんなー…でもトナカイっつーのはこっちの言葉なんよ?アイヌとかいう…」
    阿修羅がトナカイについて詳細を話し始めた横で烏倶婆迦がおそらく自分の下げた靴下を手に取った
    中にはやはりメモが入っている
    「…サンタさん…」
    烏倶婆迦が暗くなった外を窓越しに見て呟く

    「ハヒハヒハヒ…」
    微かに聞こえた鳴き声のような声
    「…これって…」
    烏倶婆迦が窓に張り付いた
    その烏倶婆迦と窓ガラスを挟んでの外からも何かが窓ガラスに張り付いた
    べちょっという音を聞いた京助達が窓の方を見る
    「…なんぞ…」
    京助がぼそっと言う
    烏倶婆迦と対面して窓ガラスの外側に張り付いていたもの
    雪だるまのように真っ白い体、細い手足に頭からは触角のようなものが生えていて、おそらく目であろう部分はまるでパンダのように黒くなっている謎の生物
    「…うわぁ…;」
    阿修羅はその生物に心当たりがあるのか苦笑いを浮かべた
    「かわいー!!!」
    悠助が声を上げて窓に駆け寄る
    「ハヒハヒ」
    「…鳴き声…だっちゃ?」
    緊那羅が阿修羅をチラっと見て聞くと修阿修羅がうなずいた
    「アサキン」
    「へ?」
    烏倶婆迦が言う
    「コイツの名前。アサキン」
    こいつを烏倶婆迦が窓越しのその生物を指さした
    「アサキンー!!!」
    悠助が目をキラキラさせて窓を開けようと鍵に手を伸ばした

    無幻真天楼第二部・第五回・参【靴下の魔法】

    • 2012.12.03 Monday
    • 20:35
     「いつからうちのクリスマスツリーは洗濯物干しになったんだ…;」
    茶の間の隅に飾られたクリスマスツリーにもっさりとぶら下げられている靴下群を見て京助が呟いた
    「こうしてるとこの中にプレゼントが入ってるんでしょ?」
    烏倶婆迦がおそらく自分の分の靴下を指さして聞いた
    「まぁ…ソウデスネー…;」
    京助が呆れ交じりに答える
    大小さまざまな靴下
    「京助は靴下飾らないんだっちゃ?」
    「あ?」
    緊那羅が京助に聞く
    「あー…俺はいいや」
    「どうしてだっちゃ?プレゼントほしくないんだっちゃ?」
    「いや…ほしいっちゃーほしいけど…靴下ぶら下げるほどのもんでも…」
    緊那羅に聞かれて京助がちらりとクリスマスツリーを見てそして固まった
    【サンタ様 私京様の愛がほしいですわ ヒマ子】
    そう書かれたメモが入っているのはピンク色に黄色いチェックの靴下
    よく見るとそれぞれ靴下にはメモが入っていた
    「お前ら…クリスマスと七夕ごっちゃになってねぇ?;」
    ヒマ子のプレゼントリクエストメモをさりげなくびりびりと破りながら京助が言う
    「だってほしいものかかないとサンタとかいう人、困るじゃない」
    「まぁ…でも…サンタねぇ…;」
    烏倶婆迦に返されてそれに返せない京助が破ったメモを丸めた
    「あのね京助」
    「あ?」
    緊那羅がためらいがちに京助を呼んだ
    「なんだ?」
    「あの…サンタさんってどこにいるんだっちゃ?」
    「は?;」
    予想もしていなかった質問に京助が真の抜けた顔をした
    「サンタさん…ってプレゼントもらえないって言ってたから…その…」
    「…お前がプレゼントやりたいってか?」
    京助が加えて答えると緊那羅がうなずく
    「きょうすけー‼」
    ガラっと襖があいて悠助と慧喜が茶の間に入ってくるなり京助に駆け寄った
    「ねぇねぇサンタさんって何がほしいかなぁ?」
    「…お前ら…;俺がサンタとそんなに仲良いように思えんのか…;」
    腰にぶら下がりながら聞いてくる悠助を見下ろして京助がため息をつく
    「サンタはなー寒い国にいるんよー」
    「あっくん兄ちゃん!!」
    「俺もいるぞ」
    阿修羅の他に聞こえたのは摩護羅迦の声
    「…どこに」
    声はすれど姿の見えない摩護羅迦を京助達がきょろきょろと探す
    「ここだ」
    阿修羅の胸元からにょっと現れた白いヘビは体長約20センチ
    「ブッ」
    下まつ毛がバシバシに生えたその白ヘビをみて京助が噴出した
    「おま…なしたん…」
    「あーまごっちょは寒いと眠くなるの他に本来の姿に戻るんさね」
    ひょいっと白ヘビ姿の摩護羅迦を阿修羅がつまみ出す
    「寒いの苦手なの緊那羅と一緒なんだね」
    「へ?;」
    烏倶婆迦が緊那羅に言う
    「お揃いだな緊那羅、好きだぞ」
    「…間違いなくマホだなコイツ」
    白ヘビ摩護羅迦の胴体をぎゅっと京助が握った

    無幻真天楼第二部・第五回・参【靴下の魔法◆

    • 2012.11.25 Sunday
    • 21:46
     「クリスマスだって」
    「だから何よ;」
    京助達から数十メートル後ろを歩いていたのは本間と阿部
    「後ろはリア充…」
    その本間がちらりと後ろを見るとそこにいたのはハルとミヨコのカップル
    「いいねぇ若者は」
    「同じ年でしょ;」
    ふーっとため息をつきながら言った本間に阿部が突っ込む
    そんな阿部がふと視線を向けたのは数十メートル先を歩く京助達
    ふざけながらなのか笑いながら歩くその姿
    いつの間にが周りの南、坂田、中島の姿は阿部の視界からシャットアウトされ京助だけが残った

    少し襟足が長い髪はマフラーで隠れていて

    比較的大きな黒い目はよく動いて

    よく通る声は聞こえるたびにドキっとさせる

    喜怒哀楽がはっきりしていてすぐ顔に出て

    子供っぽいと思えば大人の部分も持っていて

    そしてさりげなくぶっきらぼうにやさしくて

    なんだかすごく大変なことに巻き込まれているのにそれを感じさせなくて

    頼ってほしいのに、話してほしいのに、…できたら甘えてほしいのに

    「はぁ…」
    今度は阿部がため息をついた
    シャットアウトされた坂田たちに代わって京助の隣に現れたいないはずの金髪の後ろ姿
    本当なら自分がそこに行きたいのにいけない切なさがもう一度阿部に大きなため息を吐かせた

    京助の大切だった人の体にいるその子は今度も京助の大切な人になっていて
    他人が入り込めない柔らかくて暖かい雰囲気があって
    それはきっと相手も同じなんだろう
    ということは…
    「両想い…なんだろうなぁ…」
    阿部が呟いた
    「何が?」
    本間が聞くと阿部が足を止めた
    「京助と…ラムちゃん…と、か」
    「ラムちゃん…まぁ…そうかもしれないけどね」
    「慰めてよばかぁ」
    きっぱりと言い切った本間に阿部がその場にしゃがみ込んだ
    「ラムちゃんって操とかいう人の体なんだよね?中身は違うけど」
    「そう…でも…見ててわかるじゃない…京助絶対…」
    「操って人…って栄野の親戚とか?」
    「イトコだって。アタシも一回だけ会ったことあるの…本当今のラムちゃんの姿そのものだった…必死で京助守ろうとして…」
    膝を抱えたまま阿部が顔だけを上げた
    京助の父親である【竜】によって閉じ込められていた【操】に関わる全ての記憶
    【時】が来たことでそれが解き放たれて思い出された記憶
    海と麦わら帽子と、そして白いタオルと…
    「ねぇ…その操って人…男?」
    「そうだよ」
    阿部が答えると本間がポンっと阿部の肩をたたいた
    「アンタ少し冷静になって考えてみ」
    「は?」
    「少しだけ世の中がアンタに味方してくれるかもってこと。少なくてもこの国ではね」
    「はぁ?;」
    本間が歩き出すと阿部もあわてて立ち上がった
    「ちょっとそれどういう…」
    「少しは自分で考えなさい自分で」
    「なによもー!!!;」
    阿部があげた声が正月町の通学路に響いた

    無幻真天楼第二部・第五回・参【靴下の魔法 

    • 2012.11.12 Monday
    • 12:36
     「おとーさんっ」
    パタパタという足音が止まったかと思ったら開かれた茶の間の襖
    「どうした?悠助」
    廊下の少し冷たい空気が茶の間に流れ込み緊那羅が若干ストーブの近くに寄る
    「あのねっ!!靴下貸して?」
    「靴下?」
    「竜ずるいッ!!」
    竜之助の膝に乗っかった悠助を慧喜がすかさず抱き上げた
    「靴下…って…ああ、そうかそうか」
    竜之助が立ち上がる
    「明後日だったな。クリスマスは」
    壁にかけられているカレンダーを見て竜之助が悠助を見ると悠助が嬉しそうにうなずいた
    「クリスマス…って前にこれを飾った時に聞いたっちゃ」
    緊那羅がクリスマスツリーを見て言う
    「そう!!だからね靴下」
    「はっはっはわかったわかった」
    竜之助が笑いながら悠助の頭を撫でる
    「でも…どうしてクリスマスで竜の靴下…借りるんだっちゃ?」
    「んとねーサンタさんは靴下にプレゼント入れてくれるの。でも僕の靴下じゃちいさいからねーおとーさんの借りるの」
    悠助が言う
    「靴下…にプレゼント…?どうして靴下に入れるんだっちゃ?」
    「さぁな」
    緊那羅のどうしてが始まりそれを竜之助がさらっと流した


    「おーこの家去年もすげかったけど今年はさらにスゲェなぁ…」
    白い息を吐きながら坂田が足を止めたとあるお宅の前
    「よくやるよねー…見てて楽しいけど」
    南がそのお宅を見上げる
    壁に張り巡らされたさまざまな色の電球
    庭には雪だるまとサンタの人形が飾られ、それにも電球が巻きつけられていた
    いわゆるクリスマスイルミネーションというもので
    「電気料金スゲェだろな」
    「うっわー…夢がない…夢がないねぇ中島君」
    ボソっと呟いた中島に京助が突っ込む
    「今頃悠も盛り上がってるんじゃねぇの?」
    歩き出した坂田が京助に言う
    「もう数日前からでござい」
    京助が答えた
    「今頃靴下とか飾ってんじゃね?」
    「かもな」
    京助の腕にタックルしながら南も言う
    「去年も俺の靴下下げてたしなぁ…ストーブつけてたらサンタが煙突から入ってこれないからストーブ消せとか言い始めた時は俺らの方が寒くて死ぬと思ったわ…」
    「アラアラお兄ちゃんタイヘーン」
    通学鞄をガショガショならしながら歩く
    「今年はさらに大変そうな気もしなくないねお兄ちゃん」
    「言うな;」
    中島が言うと京助がため息をついた

    あと数日でクリスマスというある日
    こんな田舎の正月町にもクリスマスムードというものがほんのり漂い始めていて
    コンビニや店先にはクリスマスケーキ予約の広告が貼られていたり
    道路から少しだけ覗ける家々の中にはクリスマスツリーが飾られていた
    「俺ん家もミカ姉が張り切ってシュトーなんたらって作るとか言ってたなー」
    「俺んとこも母さんがな…盛大にクリスマスツリー飾り付けてた」
    中島と坂田が言う
    「やっぱりみんななんだかんだ言ってもクリスマスやるんだぁねぇ」
    「俺ん家神社なのに異国の神様の誕生日祝っていいんかなとかたまぁに思うんだけどよ;まぁ…悠とか楽しそうだからいいんかなぁ」
    ふわふわと雪が降る中を歩く四人
    「そういや…どうしてイエス様って言うんだろな」
    唐突に坂田が聞いてきた
    「知らんがな;イエスっつー苗字なんじゃねぇの?佐藤とかそんくらいの」
    「いやまて。それは違うと思う。きっとイエスイエスと人々の願いを受け入れるからイエス様なんじゃね?」
    中島と南がそれに返す
    「京助はどう思う?」
    京助のツッコミがなかったのを不思議に思った坂田が京助に聞いた
    「京助?」
    「あ?ああ…何?」
    呼ばれてハッとした京助が早足で坂田たちに追いついた
    「にしてもよく降るよなぁ…こりゃ明日雪かき大変だぜよ;」
    静かにそれでもいつ降り止むかわからない雪を見上げて南が呟いた

    無幻真天楼第二部・第五回・弐【ナリくり亜杤

    • 2012.11.04 Sunday
    • 22:05
    降り積もった雪が太陽の光でキラキラと光る快晴の朝
    「寒い」
    「うん…寒いっちゃ…;」
    不機嫌そうに言った矜羯羅に緊那羅が同意した
    「ウザい」
    「…むいっていうからー…」
    【寒い】と言った矜羯羅に抱き着いた制多迦を矜羯羅が叩く
    「ごめんくださーいッ」
    ガラガラという音とほぼ同時に聞こえた声
    「あれ…?この声…」
    聞き覚えがある声に立ち上がった緊那羅
    その時バタバタという足音が聞こえ緊那羅が止まった
    「南!!」
    そして玄関から聞こえたのは慧光の声
    「南?」
    「やっぱり…」
    顔を見合わせた矜羯羅と制多迦
    緊那羅が止まっていた足を動かして廊下に出た
    「どうしたんだっちゃ南…京助呼ぶっちゃ?」
    「いや今日は京助いいんだー今日は慧光に用事」
    「私?」
    名前を出されてきょとんとしていた慧光の前に南が紙袋を差し出した
    「この前のお礼」
    「この前?」
    慧光に続いて緊那羅もきょとんとして南の持つ紙袋を見る
    「この前って…」
    紙袋に手を添えた慧光に南が笑顔を向けた
    「慰めてくれた上にお願い、聞いてくれたっしょ?それのお礼」
    「あ…でも私そんな大したことしてないナリ…よ?」
    「お願い…って」
    状況が呑み込めない緊那羅が呟いた
    「ん?あのね…慧光にしか頼めないことお願いしたんだー。ねっ?」
    「慧光にしかできないこと…だっちゃ?」
    緊那羅が慧光を見るとビクッと慧光が肩をすくめた
    「ばーちゃん…すげぇ花好きだったんだ…でも今冬だからあんま花とか…そりゃハウスとかである程度は育ててたり造化あったりするけどさ、ばーちゃん好きだったのそこらへんに生えてるタンポポとか…シロツメクサとかそんなのだったから…冬にはないじゃない?そんで…慧光に出してもらったんだ」
    「だ…だってそれで南が喜ぶなら…って」
    耳を赤くしながら慧光が小さく言う
    「…なんか私…お邪魔のような気がしてきたっちゃ…;」
    「緊那羅と京助もいつもそんな感じだよ」
    「へっ?;」
    いつの間にかいた烏倶婆迦が突っ込む
    「全くそうなんだやな」
    「本当そうなんだなや」
    烏倶婆迦の腕に抱かれていたコマイヌも頷く
    「わ…私と京助って…」
    「いつもいつも二人の世界なんだやな」
    「うんうんそうなんだやな」
    「はっきり言って周りはいないものとされてるよね」
    頷きながら烏倶婆迦とコマイヌが言う
    「そ…そんなにだっちゃ?;」
    緊那羅が聞くと烏倶婆迦と二匹が強く頷いた

    「開けてみてよ。気に入るかわからないけど…」
    「う…うんっ」
    南に言われて慧光が紙袋の中に手を突っ込んだ
    「これ…」
    「こうやって首に巻くのと…こうやって手につけるの」
    中に入っていたのはマフラーと手袋
    「南が?」
    「うん。ほら、いったでしょ?俺これしか得意なことないから」
    少し照れながら言う南に慧光もつられたのか頬を赤くした
    「…私と京助…本当にあんな感じなんだっちゃ?」
    「うん」
    南と慧光のやり取りを見て緊那羅が烏倶婆迦に聞くと烏倶婆迦がうなずいた
    「…見てると…恥ずかしい…っちゃね…」
    「うん」
    緊那羅が顔をそらす
    「気づくの遅いんだやな」
    「やっと気づいたんだやな」
    コマイヌがため息交じりに言った
    「あ…ありがとナリ」
    慧光が笑顔で言うと南も笑い返した

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